ファッション業界には、デザイナーのリック・オウエンスと、起業家であり表現者でもあるミシェル・ラミーという、唯一無二のパートナーシップが存在します。リック・オウエンスの名を冠したレーベルはもちろん、家具などの共同プロジェクトにおいても、ふたりの美学は世界的に高い認知度を誇ります。
ミシェル・ラミーには数多くの逸話がありますが、彼女はフランス出身のパリジェンヌ。法律を学んだ後、キャバレーでのパフォーマンスや音楽活動を経験し、やがてリック・オウエンスの創作活動を支える重要な存在となっていきました。
生い立ちと背景
ミシェル・ラミーは1944年、フランスのジュラ地方に生まれました。祖父は、フランスを代表するクチュリエの一人であるポール・ポワレのためにアクセサリーを制作していたといいます。1979年にニューヨークへ渡り、その後ロサンゼルスへ拠点を移します。現地では自身のファッションラインを立ち上げ、さらに「Café des Artistes」「Les Deux Cafés」といったカルト的な支持を集めるレストラン兼ナイトクラブの運営にも携わりました。
キャリア

1984年、ラミーは「Lamy」というアパレルラインを立ち上げ、のちにビジネスパートナー、伴侶、そして夫となるリック・オウエンスを雇います。当初は言葉の壁に戸惑いながらも、次第に互いを深く理解し合う関係へと発展していきました。
2003年、ふたりはロサンゼルスを離れてパリへ移り、2006年に結婚。2004年には自身の会社「Owenscorp」を設立しています。2017年にはルー・ストッパードの書籍の中で、リックがミシェルについて次のように語りました。
「ミシェルを受動的なミューズだと捉える人はいないと思う。典型的な“ミューズ像”に当てはまらないからこそ、人の興味を惹きつける。“ミューズ”というより“仲間(mate)”。“仲間”は、一緒に何かを作っているという意味だから。」
ミシェル・ラミーの佇まいは、鋭さと計算された美意識が同居しています。タトゥーの入った指に重なるヴィンテージリング、額に走る黒いライン、濃いメイク、そして口元から覗くゴールドのグリル。大胆なスタイルは一部の人には挑発的に映るかもしれませんが、その美意識と徹底した自己表現は、他に代えがたい存在感を放っています。さまざまな表現に打ち込む姿勢と、才能あるパートナーへの献身は、独自の道を選ぶ人々にとって強いインスピレーションにもなっています。「たくさんの人と一緒にいてアイデアを交換するのが好き。いちばんいいのは“一緒に何かをすること”。私はすぐに心を動かされる…でも、アイデアが生まれて、みんなをどこかへ導いて一緒に作るとき、それは“寛大さ”だと思う。」
多くの人が彼女をアーティストと呼びますが、ミシェル・ラミー自身は「ストーリーテラー」であると語ります。彼女が目指しているのは、周囲にいるアーティストやミュージシャン、デザイナー、哲学者、シェフ、時にはボクサーまでも巻き込みながら、私たちの生き方や時代の行き先を“物語”として編み上げていくことなのかもしれません。
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